子供が嘘をついたとき、親としてはかなり慌ててしまうものです。嘘をつかれたことにショックを受けて、問い詰めたり、絶対に嘘をつかないようにという約束をとりつけたりしても何の解決にもなりません。

あまりトラブルがなかった次男

我が家の次男は友達とのトラブルも少なく、小さな頃からあまり親を困らせることはありませんでした。年中からサッカーをやっていたので、チームプレーの何たるかはそれなりに体得していたのかもしれません。

学校行事の夏祭りのお手伝いに行ったときなどに、学校の友達と遊んでいる様子をこっそり見ると、家での次男とは違い、ちょっとえらそうというか、威張っているというか……。やっぱり親の前で見せる姿だけが彼の本性ではないんだなと思うこともありました。

塾をさぼっていたことが発覚

それでも概ね何事もなく小学校を卒業し、中学に入って塾に通い始めて1ヵ月ほどたったときです。公文には通っていたのですが、塾というものに行くのは初めてだった次男。楽しそうに塾での様子を話してくれていました。ところが、数ヵ月たった頃から何となく様子がおかしくなり、帰宅時間がバラバラだったり、塾の話を一切しなかったり、何かあったのは明らかでした。

「塾で何かあった?」と聞くと、最初は「何もない」と言っていましたが、そのうち「行きたくない」「塾を辞めたい」ということをポツポツと話し始めました。ここ数週間、数学の授業には出ず、近くの公園や本屋さんで時間をつぶしていたそう。次男なら、何かあればすぐ話をしてくれると思い込んでいたので、正直驚きました。

「うちの子に限って」という思いこみ

事情を聞くと、ほかの中学に通っている子がやたらと絡んでくるらしく、それが本当に嫌だったというのが塾をさぼった理由。ほどなくして「数学の授業にしばらく来ていないようだが何かあったのか」と塾長から電話があり、本人から聞いたことを伝えると、塾長も授業中にちょっかいをかけてくる子のことは把握されていたようでした。

考えてみれば、中学1年生になって親に隠し事が全くないなんてこと、ありませんよね。塾を1回や2回さぼったくらいで大騒ぎするなんて大げさな……とママ友には言えるセリフですが、自分のことになると冷静ではいられませんでした。

正論で論破する最悪な母親

小学校時代は、どちらかといえばクラスでもリーダー的な存在だった次男。別の中学に通う、自分のことを敵対視してくる子にどう対応していいか分からず、塾を逃げ出してしまったことは、私にとっても少々ショックな出来事でした。

「なんで黙って塾に行かなかったん?」と聞くと「お母さん、怒るやん」と一言。塾をさぼったことや、塾に嫌な子がいることを話すと私が「そんなことも自分で対応できないの?嫌なら嫌っていえばいいのに。こっそり休んだって何も解決しない」と正論を振りかざして怒ると分かっていたのでしょう。嘘をつかせていたのは、親の私だったのです。

子どもが嘘をつく理由を考える

結局、次男とトラブルになっていた子は授業についていけないという理由で、塾を辞めたそうです。その後、次男は普通に塾へ通うようになり、同じようなトラブルはありませんでした。私の知る限りでは、塾をさぼったりすることもなかったのではないかなと思っています。

この出来事をきっかけに、聞きたいことがあっても、何でも根ほり葉ほり聞くのではなく、「子供のほうから話すのを待つ」ことも心掛けるようになりました。子供だって、嘘をつくことも塾をさぼることもダメだとよく分かっています。何でも正直に話せる親子関係は理想ですが、いつも理想通りにはいきません。まずは深呼吸して、「子供がなぜ嘘をついたのか」を考えてみてくださいね。

(文・上野典子)


子育て について「ままのわ」で聞いてみよう。