皆さんのおうちでは、子供に料理をさせていますか?「毎日忙しいのに子供が台所に入ると、かえって手間が増えてありがた迷惑!」というときも多いですよね。でもちょっと待って。それって子供の成長や学びの機会をみすみす逃しているかもしれませんよ?

「やりたい」を「本物で」叶え、主体性を育む

子供は大人の真似をしながら成長していくもの。その最たる遊びが幼児期にやる「おままごと」ですよね。想像力やコミュニケーション力などを養うのに大事だといわれる「ごっこ遊び」。でもそれを本物でできたときの喜びって、子供の心にとってどれだけ大きいものでしょう!

私も長男が2歳の頃に幼児用の包丁を購入して以来、兄弟でその包丁を受け継ぎながら何度も一緒に台所に立ってきました。2人とも、包丁でちょっと指を切ったくらいでは料理を嫌いにはならず、好奇心のほうが勝っていることが手に取るように分かりました。

その後、小学生くらいになってくると、いわれるままに料理するのは飽きたらしく、自分でオリジナル料理を作り出した長男。ときに斬新なメニューもありましたが、ぐっとこらえて自由にさせ「リトルシェフ」と呼んでありがたがっていたところ、今度は次男も真似てやり始めました。

子供の主体性を引き出すには、自分自身でやりたいことを考えて、実行して、自信を持つことが大事と考えます。どんな小さなことでもその積み重ねで主体性や自己肯定感は育っていくものですので、子供にとって料理は成功体験として大切な経験になるのではないでしょうか。

子供の五感が磨かれる

料理というのは、食材を目で見て(視覚)、手を使って調理して(触覚)、鼻で匂いをかいで(嗅覚)、耳で蒸気や油の音を聞いて(聴覚)、舌で味わって(味覚)、と五感をフルに使います。

五感を刺激することは子供の脳の発達にも良いといわれていて、特に離乳食の時期などに意識されるお母さん方が多いと思います。ですが、乳児期に限ったことではなく、成長とともにより多くの刺激を与えてあげるのは感性や表現力にもつながることです。

また調理前の食材と、完成した料理のどちらも知っておくのは感性以外にも役立ちます。魚がどうやって捌かれるのか、キャベツ・レタス・白菜はどこが違うのかなど、台所に立たないと身に付かない知識もたくさん得られますね。

食べ物の好き嫌いが減る

普段口にしない食材があったとしても、「自分で作ったものは食べられた」とか「残されると悲しいという作る側の気持ちが分かった」など、食に関する考えを改めるきっかけになることはあるようです。

うちの長男も今ではスマホでレシピ検索をして料理を作るようになりましたが、先日、普段は積極的に食べないナスを使った料理を作っていて驚きました。完成画像がおいしそうだったから作ったようなのですが、料理はどんなタイミングで人の好みを変えるか分かりません。

「味覚も成長するから、子供の頃嫌いだったものも大人になったら食べられるようになる」と良く聞きますし、自分にも身に覚えがあるのですが、子供の頃から料理をさせておくことで、そのチャンスは増える気がします。

脳活にもなる

料理には、手順があります。作る料理を決めて、材料を揃えて、包丁やまな板などを出して、切る順番や調理の順番も考えて、味付けにも調味料をいくつか使って、火にかける時間も気にして、盛り付けるお皿を用意して……と、一品作るのにどれだけ頭を使っていることでしょう。

料理に慣れている人は、これらの一連の動作を頭の中で組み立てて、しかも何品も同時進行できるのですが、それがまだしっかりできない子供たちにとっては、この上なく刺激的です。「調理は脳の前頭前野の活性化につながる」という研究結果もあり、子供だけでなく、高齢者の認知症予防にも調理が良いとされているとか。

私自身「夕方は子供の習いごと送迎で忙しいから、夕食は簡単に済ませたい!」と思う日もありますが、もしかしたらこの考え自体が本末転倒……!?親子で台所に立つ時間を確保するほうが、子供の成長には急務かもしれません。

生きる力が身に付く、自立への第一歩

先日、私が寝込んで3日ほど台所に立てない日が続きました。仕事で忙しい夫は、惣菜を買ってきたり、作り置き料理を何品か作ってくれたりしましたが、包丁を持てるはずの子供たち(中2・小4)は何もせずヒナのように口を開けているばかり。

さすがに病床でも怒りが湧いてきて注意したところ、渋々ながらキッチンに。自発的ではない料理は楽しくはなかったようですが、2人で協力して味噌汁やら炒めものやら作ったので、3日目の夕食はできたての食事をとることができました。

母親として思春期を迎えた子供たちのやる気のなさにはガッカリしましたが、でも思ったのです。小さい頃から台所に立たせておいたおかげで、やるとなったらできるじゃないかと。実際、調理中は手順や味付け方法、調理器具の置き場などを私に尋ねてくることはありませんでした。

うちは2人とも男の子ですが、将来自立して一人暮らしをすることもあるでしょうし、食べることは生きることにつながるので、やはり巣立つ前に最低限のスキルは身に付けておいて欲しいなと思います。

親子で楽しみながら気長に台所育児を

台所育児が良いと分かっても、強制では子供も嫌がってしまいますよね。子供の「やりたい」を尊重しながら、できるだけ自由に、そしておおらかに見守って、「楽しい」や「好き」を伸ばしながら主体性や感性を引き出してあげられると良いですね。

(文・四ツ倉恭子)


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