保育園と幼稚園、どちらに子どもを通わせようか悩んでいませんか。「保育園より幼稚園の方が、子どもをきちんと教育してくれる気がする……」と考えている人も多いようですが、そもそも「良い保育園・幼稚園」って、どんな園なのかを判断するのも難しいですよね。

ままのわの読者からも、こんな質問が来ていました。

娘を保育園に通わせて復職しますが、そのまま保育園を継続させるか途中で幼稚園に行かせるか、今からすごく迷っています。

保育園と幼稚園の違いは何なんでしょうか?

園にもよると思いますが、働くママにとって幼稚園は通わせにくいなどあるのでしょうか?

 

そこで、今回は『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』(内外出版社・共著)などをご執筆されたジャーナリストで、名寄市立大学特命教授でもある猪熊弘子さんに、「良い保育園・幼稚園の選び方」についてお話を聞きました。

■働くママでも幼稚園で大丈夫なケースも

まずは、保育園と幼稚園の違いについて、簡単におさらいしておきましょう。保育園は0歳から子どもを預けられますが、親が働いているなどの条件があります。一方、幼稚園はそういった条件はありませんが、預けられる年齢は満3歳から。保育園は働く親が子どもを預ける施設なので保育時間が長いのに対し、幼稚園の基本保育時間は短く、小学校のように春・夏・冬に長期休暇があります。このため、フルタイムで働くママにとって、子どもを幼稚園に入れるのはハードルが高く思えますよね。

ただ、猪熊さんによれば、働いていても幼稚園だから一概に子どもを通わせにくいということはないそうです。「今や働くお母さんの方が多数派の時代ですし、幼稚園によっては半分以上のお母さんが働いているところもあります」とのことでした。

最近では幼稚園でも預かり保育の時間が長かったり、長期休暇中の預かり保育を行っていたりするところもあります。園の預かりはなくても、サッカーや体操などのスポーツ教室を取り入れて、夕方まで子どもを任せられる園もあるようです。これなら、フルタイムはちょっと厳しいとしても、時短やパートタイムでなら働けそうですね。

■良い園ほど子どもを遊ばせている

「必ずしも保育園よりも幼稚園が良いとは限りません。保育園より幼稚園が教育的に優れているという考え方は、誤解や偏見に基づくものではないでしょうか」

そう話す猪熊さんによると、母親は自分と同じ経験を子どもにさせたいと思いがちなので、特に自分が幼稚園に通っていた母親は、子どもを幼稚園に入れたがるケースが多いようです。しかし、重要なのは保育園か幼稚園かではなく、そこがどういう園かを見極めること。最近では保育園と幼稚園の先生が一緒に保育の研究会を行うことが多くなっており、園の壁を越えてより良い保育のあり方を模索しています。「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」も、目指すべき保育について示された部分は統一されているので、保育の内容については、保育園も幼稚園も変わらなくなっているのが現状だそうです。

また、猪熊さんは全国各地の多くの保育園や幼稚園を見学していますが、そこで得た結論は「良い園ほど、子どもを遊ばせている」ということ。

「文字や数字を教室スタイルの詰め込みで教えなくても、子どもは遊びの中からそれらを自然に覚えていくものです。むしろ、子どもの個性を尊重し、自由にのびのびと遊んでいる方が、子ども自身がさまざまなことを発見し、成長していくことができます」

■先生の声は小さい方が良い

保育園と幼稚園の保育に大きな違いがないのであれば、そこが良い園かどうかを、どこで判断すればよいのでしょうか? これについて猪熊さんは、「見学に行った時に、先生の声を聞いてみましょう。先生の声が小さく、子どもに優しく話しかけている園の方が良いです。言葉ではなく笛で合図をして子どもを動かしていたり、怒鳴るような大声で指示したりする園は、あまり良いとは思えません」と話しています。

近年では子どもが一方的に保育者から教育されるのではなく、子どもが自分から主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」が注目されており、園でも遊びの中から学んでいくことが重要視されるようになってきています。子どもの主体性を大事にしている園であれば、保育者が何にでも指示をだす必要はないとのことです。ただし、注意しなければならないのは、“のびのび”と“放任”は違うということ。子どもが自由に、しかも安全に遊ぶためには、保育者が相当な準備をしなければなりません。保育中も決して放任するのではなく、常に見守り、必要な言葉かけをしていく体制が整っていなければなりません。

また、園の設備も判断材料の一つになります。

「法律で幼稚園では必ず園庭がなければならないと決まっていますが、保育園では園庭がなくても近くに公園などがあれば認可される場合があります。ただ、できれば園庭はあった方が良いですね。ただ、園庭がない園でも、それを十分に補える活動をしているところもありますので、代わりにどういった活動をしているのか、質問してみると良いと思います」

公園は園の専用ではないので、他の園とバッティングすることもあります。さまざまな人が出入りしていますし、子どもの年齢に合わない遊具もあり、園庭より危険があることも認識しておきたいですね。

幼稚園を選ぶか、保育園を選ぶかは、人それぞれ。自分の家の事情に合わせ、子どもにとって最適な環境になるよう、そこでどんな保育が行われているかは、事前に確かめておくべきです。ほとんどの園で見学を受け付けているので、まずは申し込んでみましょう。一方で、見学ができない園は、避けた方が賢明かもしれません。

 

猪熊 弘子

 

 

 

 

 

【Profile】
猪熊 弘子(いのくま ひろこ)

ジャーナリスト。北海道名寄市立大学特命教授。お茶の水女子大学大学院 博士後期課程(保育児童学領域)在籍中。一般社団法人 子ども安全計画研究所 代表理事。日本の保育制度、待機児童問題、保育事故等について20年以上にわたり取材・執筆・翻訳。現在は特にイギリスなど海外の保育・教育制度、保育の質、評価について研究。双子を含む4人の子の母。『死を招いた保育』(ひとなる書房)で第49回日本保育学会 日私幼賞・保育学文献賞受賞。最新刊は『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』 (内外出版社・共著)、『保育園を呼ぶ声が聞こえる』(太田出版・共著)、『子育てという政治』(角川新書)など、著書多数。


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