「離婚」という言葉が頭をよぎったとき、まず不安になるのは離婚後の「お金」のことではないでしょうか。思い切って離婚したはいいけれど、生活が立ち行かないということがないよう、しっかり予習しておきましょう。

シングルマザーが受給できる手当と受給額の目安:離婚のスペシャリストは語る

児童扶養手当(母子手当)

受給対象者

母子手当と呼ばれることが多い児童扶養手当ですが、父子家庭も受給できます。また、両親がいない子どもを養育している祖父母や未婚のシングルマザーも対象に含まれます。

受給額

実は、児童扶養手当は、とても複雑な計算のもと算出されています。そのため、養育費のように、算定表に当てはめればすぐ金額が分かるというものでもありません。例えば、所得制限を判断するための「所得」も、所得をそのままあてはめるのではなく、そこからいろいろなものを控除したり、養育費の8割を入れたりといった計算が必要になりますし、物価スライド制も採用しています。
ただ、目安が知りたいという人もいると思いますので、あくまで「目安」として表を作成しました。参考にしてください。

所得 1人(子どもの数) 2人 3人
57万円 42,290円 52,280円 58,270円
95万円 35,180円 52,280円 58,270円
133万円 28,090円 44,070円 58,270円
192万円 17,070円 31,360円 44,500円
230万円 9,980円 23,160円 35,670円
268万円 0円 14,980円 26,810円
306万円 0円 0円 17,980円

同居祖父母の収入は合算ではなく制限対象

よく、実家の親と同居していると児童扶養手当を受給できないと思っている人がいますが、そうでもありません。確かに、祖父母の収入も考慮されますが、同居親族の収入がすべて合算されるのではなく、それぞれの収入が受給制限の対象になるということです。そのため、実家の両親が年金暮らしで大した収入もない、という状況であれば、同居していても児童扶養手当を受給できる可能性が十分にあります。

児童手当

児童手当は、ひとり親家庭に限らず、中学生までの子どもがいる親に支給される手当です。児童扶養手当との名前の区別がややこしいのですが、「ひとり親に限らない」という点が特徴的です。この児童手当は、政策によって金額が大きく増減し、子だくさんの家庭は振り回されがちです。

受給金額

平成30年4月現在の受給金額です。先ほど書きましたように、金額が変わることもあります。

支給対象の子供の年齢 支給額(月額/1人当たり)
0歳から3歳まで 15,000円
3歳から小学校卒業前 10,000円(第1子、第2子)、15,000円(第3子以降)
中学生 10,000円

注意点

児童扶養手当と同様、所得制限があります。制限額以上の収入があれば、一律5千円が支給されます。また、別居により住所の変更が市区町村をまたぐ場合も新たに手続きが必要です。

児童育成手当

児童育成手当は、国ではなく東京都独自の支援制度です。児童扶養手当との違いは、収入制限が少し緩やかだったり、同居親族の収入が制限対象にならなかったりする点です。児童扶養手当では受給対象にならなかった人も受給できる可能性があります。児童1人につき13,500円が支給されます。
これは、東京都独自の制度ですが、各都道府県や市区町村で独自の支援制度を設けているところも多くあります。受給の条件も様々ですので、まずは、役所の窓口で聞いてみるといいでしょう。

まとめ

その他にも料金の減免を受けられたり、他の人より優先してもらえる制度があります。例えば、家賃補助が出たり、医療費が減免されたりします。また、優先的に保育園や都営住宅に入れたりする制度もあります。離婚直後は心身の疲れがピークに達し、体調を崩しがちです。そのため、親の医療費も減免になるのはとても助かるものです。昨今、母子家庭の貧困問題が取り上げられることが多くなっており、自治体もいろいろな方面からの支援を模索しています。とはいえ、自治体によって支援の内容が違ったり、何年か周期で支援の内容が変わったりするため、情報収集が難しかったりします。ほとんどのことはインターネットで調べられる世の中ですが、離婚後の手当に関しては、是非、一度自治体の窓口(市役所や区役所の子ども家庭課など)に足を運んでみてください。その際、ご自分の収入証明を持っていくと、より具体的な金額を教えてもらえます。日本は、ひとり親が子育てしやすい社会ではありません。しかし、離婚前から受給できる手当などを事前に知っておくことで、離婚後の生活をスムーズにスタートさせることができます。いつもお伝えしていることですが、衝動的で感情的な離婚より、理性的で準備を整えた離婚を目指してほしいと思います。

専門家:小泉 道子■専門家プロフィール:小泉 道子
離婚テラス(相談機関)」及び「 家族のためのADRセンター(法務省認証機関)」代表。家裁勤務経験をいかし、悩めるご夫婦の仲裁役として奮闘中です。


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