先日、貴乃花さんがご自身の離婚を説明される際、「卒婚」という言葉を使われました。それがきっかけで、テレビ番組などで「卒婚」が取り上げられていますが、まだまだよく知らない人が多いのではないでしょうか。
今日は、「卒婚って何?」、「離婚とはどう違うの?」、「卒婚と離婚、どっちがいいの?」という疑問にお答えするコラムをお届けしたいと思います。

結婚にしばられない「卒婚」という選択。その実態と現実とは:離婚のスペシャリストは語る

本来の卒婚とは

離婚でも夫婦不和でもない

卒婚は、離婚はしていないけれど、夫婦としての生活実態がほとんどない状態をいいます。しかし、けんか別れをしたわけでもなく、お互い、いがみ合っているわけでもない点が特徴的です。
そのため、時には会って一緒に食事をしたり、定期的に近況報告をしあったりします。

自分の時間を大切にしたい

夫婦仲は悪くないけれど、配偶者のお世話に時間を奪われるのではなく、自分のために時間を使いたいという人が選ぶのが卒婚です。必ずしも別居が前提ではありませんが、自分時間を優先するためにも別居という形をとる卒婚が多いようです。
例えば、定年退職後に田舎暮らしをしたい夫と、都会生活を楽しみたい妻が、それぞれやりたいことを実現するには、別居するしかありません。そのため、お互いのやりたいことを尊重し、干渉せず生活する、というのがまさに卒婚の典型的な例なのです。

実際の卒婚

「夫婦円満だけど、それぞれのやりたいことを尊重し、熟年夫婦が別居する」
端的に言うと、これが本来の卒婚の定義です。
しかし、実際の卒婚の実態は少し違ったりします。
次は、離婚カウンセリングの現場で語られる「卒婚」についてお伝えします。

何だかんだ夫婦不仲

円満別居が卒婚の定義ですが、実際はそうでもありません。
同居に耐えられないほどの大きな理由(借金、異性問題、暴力など)はないけれど、結局のところ、一緒にいたくない漠然とした「何か」があることがほとんどです。
例えば、定年間近の夫を見ながら、
「数年経てば、この人が毎日家にいる。朝、昼、晩と三食お世話しなければならない。色々と干渉されるかもしれない。」
こんなことを考えて、ため息がでる瞬間があります
そして、漠然と「離婚」の二文字が頭に浮かぶのですが、実際に離婚するほどの勇気も気力もない。まずは別居かしら……。
そんな風に始まる卒婚も実は多かったりします。

若い世代の卒婚も

離婚カウンセリングなどで感じるのは、意外と30代後半や40代といった比較的若い世代にも卒婚状態の人や、卒婚を望む人が多いということです。
「もう夫に愛情はないけれど、子どもの教育費のことを考えたら、今離婚するという選択肢はない。」という人もいれば、「子どももいないし、離婚を妨げるものは何もない。でも、とにかく新しい決断をするのが億劫。」という理由で卒婚状態を維持している人もいます。

卒婚か離婚かで迷ったら

離婚カウンセリングの場では、「離婚か卒婚か」という迷いが語られます。答えは人それぞれなのですが、ここでは、考える際のポイントをお伝えします。

卒婚のメリット

卒婚の一番のメリットは、離婚の場合の諸々の面倒な手続きが必要でないことです。
例えば、長く続いた夫婦であれば、財産分与がとても複雑だったりします。また、若い夫婦であっても、子どもがいれば、親権や養育費など、色々と決めるべきことがあります。
そういったことを話し合って決めるというのは、案外と心身の疲労を伴いますので、避けられるメリットは大きいのです。
また、戸籍上の婚姻関係は継続していますので、相手に先立たれた際は、きちんと遺産を相続できます。
また、親の離婚で子どもたちに心配をかけないですむ、といったようなメリットもあります。

卒婚のデメリット

卒婚の最大のデメリットは、「配偶者と縁が切れない」ことです。
別居状態であっても、戸籍上の夫婦であれば、どうしたって色んなことに縛られます。
もちろん、再婚して第二の人生を歩むこともできません。別居状態でも、どちらかに何かあれば、もう一方に連絡が行きます。極めつけはお墓です。婚姻状態が継続していれば、死後も、同じお墓の中で一緒に過ごすことになります。
戸籍上、一番近しい人として、相応の責任が生じてくるのです。

自分の幸せは能動的につかむ!

ご相談に来られた方にいつもお伝えしていることは、離婚にしろ、卒婚にしろ、自ら能動的に選択することが大切だということです。
本当は離婚したいけれど、手続きが面倒で現状に我慢している人がおられましたら、是非、自分にとっても理想の生活を今一度考えていただければと思います。
 
専門家:小泉 道子■専門家プロフィール:小泉 道子
離婚テラス(相談機関)」及び「 家族のためのADRセンター(法務省認証機関)」代表。家裁勤務経験をいかし、悩めるご夫婦の仲裁役として奮闘中です。


離婚のスペシャリスト, 離婚, 夫婦 について「ままのわ」で聞いてみよう。