認知症介護の相談㉙トイレを汚してしまうときの対応策-排泄介助の心得


  • 出典:株式会社法研「認知症の9大法則 50症状と対応策」
  • 著者:杉山 孝博川崎幸(さいわい)クリニック院長

「また汚してる。おばあちゃん、気をつけて!」。城山芳江さん(仮名81歳)がトイレに入った後、家族が入ると、壁や手すりに便がついていることがあります。今日は、お孫さんが気づいて芳江さんに注意しました。

認知症の人の状態・気持ち

認知症の人は、記憶障害によって、経験したことを忘れたり、最近の記憶がなくなり、過去の思い出の中で生きています(第1・記憶障害に関する法則)。それは、トイレも同様で、トイレが何をするところかわからなくなっている場合があります。芳江さんは、トイレを済ませたあと、お尻を拭くことを忘れ、下着を上げる際に、便が手について気持ち悪かったので、壁になすりつけたのでしょう。水洗トイレがなかった時代の記憶に戻っている人は、トイレでは水を流すということをわからなくなっている場合もあります。

お尻を拭くことはできても、拭いた紙を便器に捨てて流さなければならないことがわからず、部屋に持っていったり、昔は紙が貴重だったため、大事にポケットにしまうといった人もいます。

認知症が進んで便を排泄物と認識できなくなると、便を大事に扱って棚にしまいこむ、便を弄ぶ(弄便(ろう べん))、さらには、口に入れるなどの行為に及ぶこともあります。

また、脳梗塞や脳出血などによる血管性認知症の人の場合、麻痺があると、トイレの場所はわかっていても、ズボンや下着を下ろすのが間に合わずに粗相したり、お尻を紙でうまく拭けないということが起こります。

対応策

① 動作が緩慢になってきたことが原因でトイレに間に合わず失禁する場合は、ウエストがファスナーやボタンではなく、ゴム入りのズボンにするなど、着脱しやすい衣類に変えてみましょう。

② 排泄の始末が自分でできなくなっている段階なら、排泄の介助が必要です。薬局などで市販されているお尻拭きを用意して、始末を手伝いましょう。家族が不在の時間帯は、ヘルパーさんにお願いするなど、無理のない方法を考えましょう。

③ 使用したトイレットペーパーを便器以外の場所に捨ててしまう場合は、トイレに専用のゴミ箱を用意し、サンプルの紙を入れておくと、捨ててくれることがあります。紙は貴重だと思っていて、捨てることを嫌がる人には、「ここにしまいましょう」など何度か伝えてみましょう。

④ トイレの床や壁などを、掃除しやすい素材に変えましょう。”汚さないようにするには、どうすればいいか””汚れてもいいような設備にするにはどうしたらいいか”に観点を変えると、気持ちが少し楽になります。

改修の種類によっては、介護保険サービスが使えることがあるので、ケアマネージャーに相談してみましょう。

 トイレの壁、床の素材は、汚れにくく、汚れてもすぐ拭ける素材に変えましょう。大がかりなリフォームをしなくても、現状の壁紙の上から貼ることのできる商品も増えています。



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