認知症介護の相談㉟大声で騒いだり、激しく怒ったりする-理由と対応策


  • 出典:株式会社法研「認知症の9大法則 50症状と対応策」
  • 著者:杉山 孝博川崎幸(さいわい)クリニック院長

「佳子さん、ちょっと! もう、いいかげんにしてよ」。宮島民子さん(仮名78歳)は、よくふいに怒ってどなり出します。泣き叫ぶこともあります。昨夜は深夜に目を覚まして、大声で家族を呼び、騒ぎました。頻繁にあるので最近、家族は落ち着いて眠れません。近所の人からも、「昨日は大変だったみたいね?」と様子を伺うように言われます。

認知症の人の状態・気持ち

認知症の診断基準の中に、情緒が変わりやすい(情緒易変性(じょう ちょ えき へん せい))、刺激を受けやすい(易刺激性(えき し げき せい))という項目があります。これは、認知症の典型的な症状です。とくに、脳梗塞や脳出血などによる血管性認知症では、感情失禁(または情動失禁)という症状がみられます。感情失禁を起こすと、感情のコントロールが難しくなり、些細なことをきっかけにして、激しく怒り出したり、大声で笑い続けたり泣き叫んだりします。

また、誰もいないのに、「誰かが襲ってくる!助けて!」などと、被害妄想にとらわれて大騒ぎする”せん妄”で興奮して大声を出す人もいます。あるいは、単に感情だけの問題ではなく、頭痛、腹痛、歯痛など、体調不良が原因ということも考えられます。

言葉でうまく自分の気持ちを伝えることがむずかしい認知症の人は、大声や怒りなどで気持ちを表すことがあります。このようになときは、どうして欲しいのか想像し、理解すること(第8・認知症症状の了解可能性に関する法則)が、症状緩和の第一歩です。

対応策

① 周囲の人には、突然意味もなく騒ぎ出すように感じられますが、本人にとっては、目的や思いがあります。あわてて無理に止めようとせず、何が原因か、何をして欲しいのか考えてみましょう。騒ぐ原因は、その日のことではない場合もあります。数日前まで遡って、環境の変化など、感情に影響が及ぶような出来事がなかったか思い浮かべてみましょう。

 何に対して怒っているかわからないときは、今日のことだけでなく、数日前まで遡って理由を思いめぐらせてみましょう。


② 不安、恐怖などを感じている様子の場合、家族がずっと一緒にいることを都度伝えましょう。

③ テレビや音楽を消す、空調を調節する、照明を落とすなど、刺激の少ない環境になるよう調整し、本人が好む環境を整え、気分転換できるようにしましょう。

④ 発熱、頭痛、便秘、下痢など、体調に問題がないかどうか、確認しましょう。

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 空気の入れ換え、ほどよい明るさの照明、エアコンの快適な温度設定など、環境を整えましょう。



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